近所に子供の頃からあるケーキ屋さん。隣は床屋さん、近くに駅もないし商店街もない。道路沿いにポツンとあるケーキ屋さんだ。
昔、このケーキ屋さんの隣にファミリーレストランができた。このレストランではお土産用にケーキも売っていたので、あーあ、これじゃケーキ屋さん無くなっちゃねと両親が言っていたのを覚えている。
それがそれが、あれから数十年経つが、今もそこにケーキ屋さんはある。逆に隣にあったファミリーレストランが無くなってしまった。いまは外車のディーラーになっている。
たいしたものだよねー。お店の人を知ってるわけでもないし、とっくに代替わりもしているのだろうが、長く続けられているのは並大抵のことではないと思う。お店には、昔の近所の写真が何気なく飾ってある。
ずっと変わらずこの場所にある。それを誇りに感じながらお店を続けているのだろう。
最近このケーキ屋さんによく行く。お目当てはアップルパイ、いたってフツーのアップルパイなんだけど、これがなぜか美味しい。
昔からあったのかなー。子供の頃はもっぱらモンブラン派だった。あのお蕎麦みたいなやつを面白がって食べていた。今はお蕎麦ではなく、平たい生地にクリームが包まれているタイプに変わってしまった(やっぱり変化はさせてきてるんだね)。
そんな中、アップルパイだけは変わっていない(と思う)。デパートなんかに行くと最近は色々なアップルパイを売っている。リンゴちゃんがたっぷり入っていたり、どこどこで評判になりましたとか、いろいろ工夫されているようだ。
僕はあんまり生地が固くない方が好き、そしてシナモンが入っているタイプは苦手。甘すぎず、底は柔らかめで、パイの部分がパリッとしている、この絶妙な感じがたまらない。
アップルパイを食べていると、なぜだか幸せな気持ちになる。それだけオッサンの幸せなんて安いもんなのかもしれないけど、本人が幸せだったらいいじゃないか。
夕方、時間があるとBMW M440iで近所を一回りドライブする。第三京浜に乗って、玉堤道路を走って帰ってくるだけのお気に入りのコース。最後にこのケーキ屋さんによってアップルパイを買う。
ちなみにアップルパイはコーヒーにもあうけど、スパークリングワインにもあう。あー考えただけで幸せ、食べたくなってきた(ほんとオッサンの幸せって安いもんだ)。
今度はホールで買ってみようかな、そんなことも思うけど、食べ足りないくらいがちょうどいい。慈しみながら、リンゴの入った先端から食べて、最後にパリパリのパイの部分を食べる。あー幸せ(くどい)。
ネットで紹介されたり評判のいいものばかりが、すべてではない。自分が好きなモノ、それを大事にするのが大切だ。まわりに踊らされ過ぎず自分の感覚に従う。何気ないことだけど大切なことだと思う。