人生はロングドライブ

多幸感あふれる人生を求めて、気づき感じる日々を疾走中

旅先で思う



御前崎へのひとりドライブ旅、前日の金曜日に午後休を取り静岡まで移動した。午前中に打ち合わせがあったので家からリモートで仕事、その後そそくさと支度して旅に出かけた、まったく便利な世の中になったもんだ。

お昼に大好きな鮎沢パーキングでコロッケそばを食べ、由比のパーキングで海をボケッと眺め、そのあと清水で東名高速を降りて、日本平から海沿いの道を西へ走る。

その日は藤枝にあるホテルで一泊した。この辺は平地でたくさん住宅が立ち並び、各種のショッピングモールが点在している。よく見る地方都市の風景。

ホテルは駅に隣接されており、窓からは藤枝駅の電車のホームが見えた。また、夕方だからか駅のロータリーにはひっきりなしにクルマが入って来る。お迎えのクルマなのだろう。駅前にある学習塾の前にもたくさんの車が止まっている。

さて、夕食はどうしようか。大人のオッサンなら、よさげな店を見つけて地のものでもつまみながら酒を飲むのだろう。残念ながら、僕にとっては面倒くさい所作。駅前をぶらりと散策し、スーパーによってお惣菜とスパークリングワインを買って部屋に戻る。

僕はホテルの部屋でゆったりまったりするのが好きだ。誰に気兼ねするでもなく、非日常の時間を過ごす。旅の目的はドライブ、しかも目指すは御前崎の海岸ドライブだ、美味しいものを食べに来たわけではない。

このホテル、大浴場がついているようだ。食事の前に行って見るかと思い立ち、館内着に着替えて出向いてみる。しかしこの館内着が上下紫、着替えなどを入れる籐のカゴも紫だ。たぶん藤枝のカラーと思われるが、ちいと恥ずかしい。

これで大浴場に移動して良いと言われたが、できれば人に会いたくない。そう思いながらエレベーターで向かうと残念ながらおばさんが一人乗っていた。変な目で僕を見ているが仕方ないじゃないか、ほんとホッといて欲しい。

大浴場はガラガラだった。時間はまだ18時、温泉宿でもないし、この時間にお風呂に入っている客なんていない。

大きな湯船に入ると気持ちがいい、ハービバノンノ、知らず知らず魔法の言葉が口から出る。うひー、最高だぜ。サウナもついているようだが、好きではないのでスルー。十分温まったから部屋に戻り、さあ晩酌だ。

スパークリングワインの栓を抜き、備え付けのグラスに注いで飲む。あー最高。飲みすぎないように氷を少し入れて飲む。お行儀は良くないが、キンキンに冷えるし、カチ割りみたいなもの。


こんな時間がとっても楽しい。家にいても似たようなことをしているわけだが、こういう時間は至福の瞬間。適当に買い込んだ、お惣菜やらチーズやパンでお気楽な晩酌タイム。

窓を開けて駅のホームを見下ろす、もう夜の9時、電車を待つ人たちがいる。旅に出るといつも思う。もしもこのような街で生まれていたらどのような人生を歩んでいたのだろう。

良いか悪いかは別にして、僕は都会にほど近い街に生まれ暮らしてきた。最寄り駅は賑やかな東横線の沿線、渋谷や横浜もほど近い、そんな暮らし、シチュエーションが当たり前だった。

今日走ってきた道沿いにはたくさんの家があった。ここではどこに行くのもクルマが必要だろう。デパートもセレクトショップもない。家族や親戚、同級生やご近所さんたちに囲まれたコミュニティ。

ここで生まれていたら。。。ホテルでひとり旅を満喫する発想なんてなかったかもしれない。人生色々、暮らしも色々、価値観もいろいろだ。だからこそ、人を真似たり羨んだりすることなく、自分がしたいコトをしなきゃいけない、こんなことを改めて感じさせてくれるのがひとり旅の良さだと思う。

夜9時ごろの藤枝駅のホーム