僕はクルマ好きだ、自分のクルマは単なるクルマ以上のものと思っている。僕の唯一の友人と言ってもいい。それだけ人間の友達がいないということだが、ほっといてほしい。
そして僕は面倒くさがりだ。こんなに自分のクルマを愛しているのに洗車はもっぱらガソリンスタンド。手洗い洗車だけでなく機械洗車も使う。よくスタンドの洗車は傷がつくなんていうけど、汚れたらこまめに洗った方がいい。それに今どきのクルマは洗車機で傷がつくようなやわなボディではない(と信じている)。
そんな僕だが、年末に自分の手で洗車をした。もう何年振りだろうか、記憶がないくらい昔のことだ。アマゾンで洗車グッズを一式買い込み、弟が経営している町工場の空きスペースで洗車をさせてもらった。
なぜそんなことを思い立ったかというと、もちろんBMW M440iを自分で洗いたかったからだ。購入してから半年たつが色んな所に一緒に出掛けた。最初の遠乗り、山形ひとり旅では、いきなり首都高で飛び石にあった。
パリーんとすごい音がしたもんだから、完全にフロントガラスが割れたと思った。でもガラスに少し傷がついたくらいですんだ。でもボンネットに一センチくらいの傷がついていた。たぶんここで何かがはねてフロントガラスに飛んできたのだろう。かなりのショックだったが、このくらいですんでよかったと思い直した。
そんな傷も含めて、一度自分の手で洗ってみたいと思っていた。ところが久しぶりの洗車は大変だった。まず水道の蛇口にホースを取り付けるとこから四苦八苦だ。そんなこともできないのかとバカにしないで欲しい、自分でもそう思ったのだから。
ホースを水道の蛇口に括り付け、洗車を始めたと思ったら蛇口からホースが飛んでいく。ばしゃーんと水が飛び散る。何回繰り返しただろうか、既に疲労困憊だ。
なんとかホースが使えるようになったが、思ったより短い。フロントバンパーの前までホースが届かないじゃないか、無理に引っ張るとまた蛇口から外ればしゃーんとなる。
それでもなんとか工夫してクルマ全体に水をかけアワアワにする。これが楽しい。クルマの汚れがすべて落ちていくようだ。急いでクルマ全体をゴシゴシと洗っていく。
思いのほか洗う面が多い、久しぶりの洗車はそんな印象だ。一心不乱にクルマを磨く、早く磨かねば洗い沁みが残ってしまう、洗車は時間との戦いなのだ。カラダ全体を使って磨く、磨く、磨く。
すると、クルマのボディラインがよくわかって来る、M440iは後方に向けてふくよかなラインが特徴だ。これは2ドアクーペだからこそのボディラインだと思う。この線に沿ってクルマをなでるのは気持ちがいい。
この日のためにムートンのウオッシンググローブや吸水クロス、シュアラスターのカーシャンプーなどを購入した。そうそうホースも新たに買ったのだ、短かったけど。。。洗車場で洗えばいいのにと思うかもしれないが、人がたくさんいるところではマイペースで洗えない。自由気ままに洗いつくすことが洗車の醍醐味なのだ。
とか何とか言いながら2時間洗いまくる。おかげで車はピカピカ。そしてカラダはボロボロだ。こんなに疲れるとは思わなかった。
それでも、何だろうこの清々しさは。ひと試合終えたような、何か達成感がある。そしていいことした―っていう満足感がある。この満足感で僕のココロに積もっていたモヤモヤが晴れ渡る。
あー洗車って素晴らしい、クルマがピカピカになるだけでなく、僕のココロまで洗い流される。なんて素敵な時間なのだろう。
でもこんなに大変だということもよくわかった。タイムイズマネー、今度からはより一層ガソリンスタンドを重宝したい。これを2千円そこらでやってくれるのだからすごいもの。プロに任せるものは任せるべし、よく分かった事実。
そしてたまには自分の手で洗ってみる。クルマとの会話、走らせるだけじゃない。そんなことがわかった。それにしても、あー楽しかった、疲れたけどねー。