11年ぶりに乗り換えたクルマ、BMW M440iにはレベル2の自動運転機能がついている。「駆け抜ける喜び」を標榜し、直列6気筒387馬力のエンジンを持つ今どき珍しい純ガソリン車。M440iに自動運転とは一見不釣り合いな感じ。
これまで乗ってきた二世代前のCクラスには、この手の機能は一切ついていなかった。かろうじてオートクルーズ機能がついていたが使ったことは一度もなかった。
M440iのオートクルーズは今どきのACC(アクティブクルーズコントロール)、前走車に連動しながら加減速を行う機能だ。そればかりではなく、なんと60キロ以下の渋滞時にハンドルを持つことなく、運転することができるハンズ・オフ・アシスト機能がついている。
これがチョー便利、東名高速なんか最近はいつも渋滞してるけど、そこでは抜群の効果を発揮する。この手の機能はアクセルとブレーキがカックンしたりと思いがちだが、挙動は至って自然。渋滞時の完全停止、そこからの再発進もフツーにこなしてくれる、しかも手離し。
いやーこういう機能ってプリウスとかにしかついていないのかと思っていた。BMW的には、思いっきり「駆け抜ける喜び」を堪能するためにそうでない時はクルマ側がドライバーをサポートする、そういう思想なんでしょうね。ホントその通りで、ドライブを堪能するために行きや帰りの高速道路での渋滞時の疲労を緩和してくれる。ほんと素晴らしい。
一方で、この機能にどこまで委ねてしまっていいのか、という心配もついてまわる。だから、僕はハンズオフの時もいつでもブレーキが踏めるようにスタンバっている。やっぱり基本的にはアシスト機能であることを理解しておくべきだ。
また、慣れてしまうと、全面的にこの機能に委ねてしまう感覚に陥るのも怖い。自動運転機能が稼働していない時も、自動で止まってくれると勘違いしそうな気がするのだ。だからこのような機能は、高齢者向けではないと個人的には思う。
判断能力が衰えた高齢者がこのような機能に運転を委ねてしまうのは危険だ。クルマの運転を楽しみたい人が積極的に活用すべき機能。そういう意味ではBMWの「駆け抜ける喜び」を最大限享受するため、ドライバーをアシストする機能、その発想は理にかなっている。
それにしても意のままにクルマを操れる、それを標榜するBMWのハンドルが勝手に動くのだからびっくりだよね。時代は変わった―。
ちなみに100%自動運転ができたらそれはもうクルマではないと思う。移動するための単なるハコ、電車や飛行機と一緒。クルマは自分で操れるからこそクルマなのだ。だからITツールと一緒で、自動運転をどう使うのかは僕らに委ねられている。
そういう意味だとこれからのクルマは二極化してくるのだろうね。色んなイノベーションが起きても、それに全面的に委ねてしまうのではなく、目的に応じて使い分ける。要は使う側が意思を持つ、そんな自分でいたいと強く思います。
ちなみにBMW M440iですが、「リバースアシスト(後退時ステアリング・アシスト機能)」というのもついています。これ何かというと直近50mの通行を記録して、そのルートに沿ってハンドルをクルマが自動的に操作しながらバックできる機能だそうです。対向車とすれ違えないような狭い道で前方からクルマが向かってきた時に使うらしいのだけど、これはいらないよねー。
イノベーションも試行錯誤の繰り返しということでしょう。面白いね、前向きに楽しむことが大事だと思います、何事も一緒だね。