僕は今年で57歳になる。
定年まであと3年、もうカウントダウンが始まっている。一般的には60歳でリタイアする人は少なく、65歳くらいまで働いて年金をもらう人が多いのではないだろうか。自営業をされている方はもちろん、サラリーマンであっても雇用延長などで仕事を続ける場合が多い。
でも、うちの会社なんか見ても本気でシニアを活用しようなんて考えていない。法律で65歳までの雇用が義務付けられ、70歳までの雇用が努力義務となっているため仕方なく受け皿を用意している、そんな雰囲気だ。僕の所属している職場なんかもそうで、現在雇用延長している社員はできるだけ早く辞めさせようとしている。
そりゃそうだよね、組織は新陳代謝があってこそ、それによって成長サイクルが構築される。これからパフォーマンスが落ちる一方のオッサンの使い道を探すより、若い力を育成して活力ある組織を作っていく方が理にかなう。
でもねー、これからその若者自体がどんどん減って来るわけだ。それに今の若い人たちだって歳はとるから10年もしたら同じ境遇が近づいてくる。だったら将来も見据えて、シニア層の活用を戦略的に講じることが、競争力を高めることにもつながると思うんだけどね。
先日、会社で50代後半研修が開催された。9時から17時まで丸一の研修、年金や退職金など、これから必要な情報を教えてくれる研修だとばかり思っていたのだがそんなことはなかった。
4人でグループを組まされると、あとはグループ内で自分のこれからの人生を語り合う、そしてお題ごとに発表させられるという内容だった。当日、講師からインプットされた情報は、会社が紹介する働き口の斡旋情報くらい。自分のことは自分で考えて、早く辞めてください。そんな雰囲気プンプンの研修だった。
なんかの研修に似ていると思ったけど、あれだ、不活性人材の処遇に対する取り組みと一緒。要は出来の悪い社員をどう配置転換、できれば社外に出て行ってもらうかという施策と一緒だということに気がついた。
あーあ、30年以上会社勤めをしてきてこの仕打ちだもの、サラリーマンって悲しい。でもグループで話をしていて思ったが、シニアの側にも問題がある。多くのシニア予備軍は真剣に定年以降のことを考えていない。現在の職にやりがいを感じているから、できるだけ長く続けたいそんなことを言う人が多かった。
いやー、そりゃまわりは後輩ばかりだし、慣れた仕事をしている側はそう思うだろうけど、まわりからどう思われているかわからないのかね。実際、こういうシニア予備軍が多いから、会社サイドも活用するというより排除する方向に動くのだろう。
グループディスカッションをする中で自分はどうしたいのか聞かれたので僕はこう答えた。
「定年を迎えてリタイアできれば理想だけど、現実、金銭的に無理だろう。雇用延長も含めて働くことは考えるけど、これまでのように重責を担う仕事ではなく、できればルーティンワークな仕事をして、自分の自由な時間を多くとりたい」
みんな、そんなんでいいの?という顔をしていたが、きっと現実がわかっていない。いまと同じで責任があってやりがいもある、そんな仕事がずっと続けられると思っている。
この様な人たち(僕ら?)をちゃんと教育してこなかった会社の責任もあるが、いい年したおっさんなら自分のことは自分で考えるべきだと思う。いい大人なんだから。
そもそもうちの会社には55歳で役職定年という制度があった(いまはなくなった)。今までは、このタイミングでグループ会社などに転籍する社員が多かった。今の職場での限界を認識し、子会社に転籍することで現状と同等の処遇を継続する道を選ぶ。自分のことがわかっている人間はそのような道をとっとと選択している。
逆に言えば、そのような誘いもなく、漫然と仕事を続けてきたアンテナの低い人間が今も会社に残り続けているともいえる。そりゃ会社もそんな社員の活用より、切り捨てを選ぶ。我ながらちょっと納得した。
ということで、これからは会社に頼るでもなく、自分のことは自分で考えなければいけない。さて、これからどのように定年を迎え、どのような人生を送っていくべきなのか。
実は不安より楽しみの方が強い。
だって、入社してから30年以上、人に気を使い続けながら生きてきたサラリーマン人生がようやく終わるのだもの。生活のために仕事はやめられないにしても、もうそういった気を使う仕事からおさらばできることは望外の喜びだ。
そんな仕事ではたいした給料もらえないだろうって?いやいや60歳以降の再雇用なんて、どんな仕事でもたいして給料変わらないですよ。いまと同じ気を使って誰かの顔色伺いながら仕事を続けつづけたって、給料は大幅に減ります。だったら、責任のないルーチンワークな仕事で小金を稼ぎ、好きな時に好きなことをする時間を増やした方がいいに決まってます。
大事なのは、これまでのサラリーマン生活で沁み込んだ会社の常識や価値観から抜け出すこと。これまでの常識や、変なプライドを持たず、やりたいことをやっていくことが何より大事だと思います。
何も移住したり、人生の楽園を見つけようとしなくていい、必要以上に張り切る必要もない。大事なのはココロ、青臭いこと言うようだけど、僕は60歳以降は第二の青春時代だと思っています。
右も左もわからなかった10代の頃の自分。もがき苦しみながらも何とか自分を形成し、社会に適合して生きる術を見出してきた。それからうん十年たち、今度はそのしがらみから離れ、今一度、自分と向き合える時期がやってきた。
この第二の青春時代に自分は何ができるのか、そして今度はどんな自分になれるのか、そう考えると面白い。
肉体はドンドン衰えるし時間だって有限だ。だからこそ不安より楽しみを優先して行動する、そんなことがこれからの自分に求められる。そんな時間をM440iと一緒に過ごしていく、あー楽しみで仕方がない。
我ながらホント脳天気な自分だと思うけど、それでいい。だって、ココロは歳をとらないのだから。もちろんいいことばかりじゃないだろう、当然そんなことはわかりきっている。
いい大人だもの。
いい大人だからこそ、今度は何ができるかと考える。面白いじゃない、ホントそう思う。